代表取締役 矢野貴夫

お客様からよく聞かれること

  • 主にメガネを取り扱っているのに、なぜ「時計店」なの?
  • 「メガネの矢野」に改名しないの?
  • どうしてこんな寂れた商店街でやっているの?

などなど。

真面目に答えるのが少し照れくさくて、つい冗談を交えながらなんとなく流してきました。
でも今日は、その本当のところを少しだけお話しします。よろしければお付き合いください。


父がこの地で店を開業したのは昭和37年。
当時の商店街は店も数軒しかなく、周りにはスーパーもマンションも団地もない時代でした。

「なんでこんな寂しい場所に店を建てたんや」
と、よく言われたそうです。


父は駒川商店街にあった実家の矢野時計店から独立しましたが、資金も器具もゼロからのスタート。すべてを「借りる」という選択で一歩を踏み出しました。
そこから紆余曲折を経て、お客様に支えられながら40年が過ぎました。


父の他界後、大手眼鏡店に勤めていた三男坊の私が後を継ぎさらに10年。
創業50周年という節目にあたり、古くなった店舗を全面改装する決意を。
正直、不安だらけの再スタートでした。

移転して賑やかな場所でやるべきか…。
国家資格であるSS級認定眼鏡士(現・1級眼鏡作製技能士プライム会員)を前面に出し、「メガネの矢野」に改名すべきか…。
悩みに悩みました。父の時と同じように「なぜこんな場所でやっているのか」と何度も言われました。


それでも私は、この仕事をビジネスとしてではなく、家業として続けることを選びました。

この場所で良いものをお客様に届けたい。

お客様に喜んでいただきたい。

不必要なものは提供しない。

今の時代そんな当たり前のことほど難しいのではないかと感じています。
だからこそ屋号は改名せず「有限会社 矢野時計店」。この基本姿勢を貫く覚悟で。


宣伝や商売はあまり得意ではありませんが、これからも精一杯努めてまいります。

拙い文章を最後までお読みいただき、ありがとうございました。

代表取締役 矢野貴夫